家を建てることになったので

北国の地(試されてない大地だけどそこそこ寒い)、不惑間近でマッマと二人で家を建て直すことになりました。その備忘録です。

真の強敵、その名はマッマ

自分の希望(断熱の良い手の届く価格な家)とマッマの希望(見た目)が両立された工務店さんを見つけたとほっくほくな気分で帰宅したワイ選手。来週新しい会社さんに行くでよ、とマッマにつげるも、施行会社には微塵も興味のないマッマ、ふーんで話は終了する。


さて翌週。
事務所でお話をと言われたけれど、リアルで体感しなければピンと来ない世代のマッマのために展示場に再び訪れる。展示場っていっても住宅街の普通のお家だ。車から降り立ったマッマはジロジロと外構を眺める。庭に関してこだわりのある女である。
「これ、うちにもこういうのが欲しいわ」
マッマが指差したのはお庭のインテリア、枕木。またの名をただの木の柱。
「枕木?」
「まくらぎ?」
「線路の下に置いてある……たぶん普通にネットで買えるよ」
ネットの世界で買えないものはないのだった。


そんなこんなで展示場に入る。展示場の玄関は土間がL字になっていて、収納スペースが広い。コレもマッマが求めてる土間収納ってヤツだ。
LDKで軽く挨拶を交わし、あらかじめこちらの要望にそって考えていただいた間取りを拝見する。
BM社長(仮称)が袋から取り出した間取りを見る。


――あら、いいじゃないの( ・∀・)!


初めて提示された間取りにストンと納得した。
ほぼ真四角、道路と庭に面した南側に玄関、LDKのキッチン部分、お風呂、そしてウッドデッキがある。切妻屋根の軒下にすっぽりと玄関、ウッドデッキが入り、その分壁が引っ込んで南の軒が長く出ている。北側に寝室が二つ。日当りのいい南に水場が集中しているけれど、台所から外が見たいというマッマの希望と、お風呂の湿気がこもらないと思うので、これはこれでいいのではないかしら。
ワイ選手、なんだか嬉しくなる。思えば家づくりを初めて、間取り見てニコニコしたのは初めてかもしれない。
多少の手直しと伝え忘れた仏壇の位置等を要望し、問題のお値段は……。


( ・∀・)あら! 思った以上にお安いじゃないの!!


もちろん高いんだけど(家ですから)今まで見積もりをとったどの会社さんよりもリーズナブルだった。2×4だしベタ基礎だし結構いい断熱材使ってるから覚悟したんだけど、今の家の解体費や地盤改良予定費も含めて予算内! ブラボー!
ワイ選手ニッコニコ。このお値段だったら外構にもお金まわせるなぁって思っていた。
のだ。
が。
――そして、ここからはマッマのターンだった。


勾配天井がいいです。
壁は塗りがいいです。
梁が見えてるのがいいです。
外壁も塗りがいいです。
床は無垢材で。
既製品(プラスティックっぽいもの)が嫌です全部自然のものがいいです。


( ・∀・)おいぃBBA、なにいってやがるんでぃ? それは全部オプションやで。お金かかるんやで( ・∀・)?


勾配天井? できますよ○○円ですね^^。
塗り壁は玄関とLDKは標準ですが、ではトイレ洗面以外は全部塗りにしましょう○○円です^^。
梁は2×4なので飾り梁になりますが、では勾配のこことキッチンの上に五本○○円です^^。
外壁塗りはジョリパットですね、平屋なので○○円ですね^^。
では床は水廻り以外全部パイン材で^^。
キッチンはウッドワンはいかがですか、雰囲気がとてもあいますよ^^。
造作カウンターや造作洗面台なんかいかがですか^^。
お客様なら、天井も全部塗りなんていかがでしょうか。○○円です^^。


マッマ「あ、じゃあ、全部それで^^」


( ・∀・)<ババア待てこらぁあああああああああああああああああああああ!!!!!


マッマ「あとこちらのお庭も素敵ですね^^」
BM社長「うちで外構も施行しているんですよ^^こういう雰囲気がお好きなら任せていただきたいです。天然石のアプローチと庭木と芝で○○円ぐらいですね^^」
マッマ「じゃあそれで^^」


( ・∀・)<ババアーーおいババアあああああああああああああああああああああ!!!!!


モッリモリのオプションと間取りの修正で、再度見積もりをいただくことにして、その日はお家に帰ったのだった。
マッマ、実はすっっっっごい見た目重視厨であることが初めて発覚し、ワイ選手真っ青になったのだった……

六度目の正直2

(続いた)黒塗りのBMWが現れたのだった。
(あ、コレは社長っぽいな)私のたいして鋭くない嗅覚がそう告げる。そりゃおめぇ、黒塗りのBMWでくるのは社長だろうよ。
「お待たせしましたー」 
運転していたおじさんと一緒に降りて来た若い女性はニコニコと鍵を開ける。 
「すみませーん。モデルハウスって常駐してるのかと思って☆ 予約制だったんですねー」 
「大丈夫ですよー」
とりあえず笑って誤摩化しておいた。この場限りの付き合いになるかもしれぬので恥はかき捨てでござる。 
社長とおぼしきおじさんは、こちらについて回るわけでもなく、お花に水やったりしてる。まぁワイ選手、四十まぢかの女一人が来た所で冷やかしだと思ったんだろう。別にいいんだ。お姉さん美人だし(そこか)
お姉さんに家の間取り図をもらい、いざ見学。塗り壁、板張りの壁、無垢パイン材の床。入った瞬間、なんか しん…… って静かな感じがした。 
ナチュラルテイストで、これならマッマも好きな感じだ。
「このLDKの広さは何畳ですか?」 
「このパントリーいいですね」 
「風呂の広さは」 
「あ、これが噂の断熱材ですかーなるほどぉ」
とりあえず一通り質問をかます。
「母親と二人で平屋のお家建てたいと思ってるんですよ〜」てな個人情報をチラチラと織り交ぜながら話してみると、とりえずテーブルでお話でも、ってな感じで、社長は方眼紙を出して来た。
(これは……本格的だぞ)
なんとなくそう思うのだった。知らんけど。素人は舞台装置に騙されるものである。
間取り、要望、工期や予算、などなどを思いつくままに語ると、社長はふむふむと言いながらスラスラとメモって行く。
特に小市民にはご予算についてが重要だ。今までの経験をふまえ、ちょっと少なめに申告する。
「この感じだと、十分予算の範囲内に収まると思いますよ^^」


神様か!!


断言され、俄然嬉しくなるワタクシ(単純)
「ではマッマを連れて一度詳しくお話させていただきます!」
テンション高く次の約束をとりつけたのだった。

六度目の正直

さて、去る7月19日正式に判子を押してきました。
とりあえずそこに至るまでを備忘録代わりに記しておきます。


5月もしばらく過ぎた頃、なんともモヤモヤした気分を抱えた私は、マッマが甥っ子の運動会に行っている隙をついて新規の工務店さんに突撃してみることにした。


事前に気になる会社を二件ピックアップ。
一件目は北海道のビルダーのフランチャイズ。ちょうど仕事中に流れていたラジオで「モデルハウス見学会があるよ!」とCMを聞いた会社である。
北海道=試される大地=死ぬほど寒い=家は暖かい
ということで、私的には好印象である。とりあえず電話番号をメモメモ。
次に、もう一つの工務店さん。名前は聞いたことある。たしかテレビCMしてたな。この工務店さんは、ある断熱材を調べていたらヒットした会社だった。HPを見たがなんかよくわかんなかったけどモデルハウスあるみたいなので、見せてもらおうととりあえず電話番号をメモ。


マッマが運動会に出かけてから、一人車を走らせる。
なんとなーくここら辺だろってあたりで車を停めて、さっそく電話。
いや家から掛けろや。相変わらず計画性のない女である。
「ハイ、○○ホームです」
「ふぁ!?」
出た先は違う工務店さんの名前を告げた。あれれれ? 私が電話したのは○○ハウスのはず。
「えーと、○○ハウスさんではないんですか?」
「あ! すみません、こちら○○ホームが○○ハウスさんの事業委託という形になってまして」
おぉう、ビックリした。そしてちょっとテンション下がった。○○ホームかぁ。名前は知ってるけど、あまりピンとくる会社じゃないんだよなぁ。
とりあえず展示場の場所を聞いて行ってみる。どうやらモデルハウスじゃなくて完成見学会のようだ。
降りて見るとシンプルな外観のおうち。出てきた営業さんに手袋をもらい、中へ。
家はこぢんまりとした二階建て。断熱材、壁材、屋根材などの説明を受けつつ、平屋を考えているむね伝える。
「平屋の企画はございますよ、資料をお送りしますね」
屋根材は軽い瓦っぽいヤツだし、外壁は塗りだし、床は無垢材だし、なかなか良い感じの会社だ。
外に出て外観を眺める。……私は思った。たぶんコレ、マッマが好きじゃないタイプの外観だ。特にめっちゃ目立つとこについてる丸い窓が。
「あの丸い窓は別につけなくてもいいんですよね?」
正面についてる窓をさすと、営業さんは口ごもり、
「いえ、あの、うちのトレードマークのようなものなので」
「……」
これは……ダメかもわからんね。



お次の会社に向かい車を走らせる。うすぼんやりとしか場所を把握していないが、大丈夫、電話番号控えているから(計画性皆無)
「すみません、モデルハウス見学したいんですけど」
「はい、ありがとうございます。お時間は何時頃がよろしいですか?」
「今で」
「今」
しばし保留。
「はい、大丈夫です。今から移動致しますので、二十分ほどかかります」
「(移動???)えーと、住所教えてください」
なんかモデルハウスと事務所は違う場所にあるらしい。っていうか、同じ場所だと思ってた(勝手に)
住所をナビに入力。てろてろと走る。
たどりついたのは○○タウンっていう新興住宅地。真新しい家ばかり並んでいる。お話すすめてるもう一個のビルダーさんのモデルハウスのすぐ裏だった(笑)
それらしいお家の前にくる。あまりモデルハウスに見えない。アプローチが可愛いな。でも××ハウスって書いてあるからココだろう。
玄関の前でぼーっと待つ。
これはあれか。もしかして事前予約制だったのか。申し訳なさが頭をよぎったけど、まぁいいや(非道)。
しばし待つこと数分。
その時、道の向こうから黒塗りのBMWが現れたのだった――(つづく)